上司

今新宿。現役時代のjuniorと飲んでいる、3年ぶりだ。juniorとは後輩のこと、ここではジェー君と呼ぶ。ここは二軒目、金曜日なのでやたらと混んでる、でも、昔は週2日ぐらい通った店、とても懐かしい。

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ジェー君はまだ若い、でも、身体を悪くし退職も考えたそうだが、色々あって今は昔の上司のところで働いている。話を聞くと、その上司、多分ジェー君の性格、気性、仕事ぶり、人間関係、そして何よりもジェー君の気持ちを本当に理解した上で自分の手元に置いていると感じた。なのでジェー君、結構生き生きしている、良かった。

上司も人間だ、自分のことばかりで部下を平気で使い捨てにする上司、自分のことのように心配して家庭環境まで口を出してくる上司、表は優しく裏では冷たい偽善者上司、色々いる。上司たるものどうあるべきか、なんて考えている上司は中々いない。でもジェー君、そんな上司に巡り合ったんだと思う。人生の半分を費やす時間、気持ちに重きを置く上司の元で働ければやる気も出るし、楽しいし、幸せだろう。

逆は大変だ。オレの昔の部下だった奴がいじめにあってるなんて話を聞くと殴り込んで空手チョップだ、がどうしょうもない。ロープ脇で頑張れ、と祈るしかない。

なんかの本に書いてあったことだが、オレが大事にしてきたことがある。嫌な上司を乗り切るための三つの処世術。その一、我慢すること。その二、自分が上司だったら会社をどうしたいか考えること。その三、そのためにただひたすら勉強すること。上司は必ずいなくなる、その時のために知識と気力で武装するというわけだ。

こんなことできるわけねーだろう、おっしゃる通りで中々出来ない。でも、心がけることはできる。それが役に立った。日頃からハウツー本を読み、それを会社に当てはめパワポに落とし込む。結果使わなくても頭に残るし、いざという時の訓練にもなる。

ある時、全社的なプロジェクトが組まれ、トップから明日の会議までに試案を作成するよう部門長に指示が下った。すると部門内で役員含め誰が作成するかで相互監視、同調圧力的な雰囲気が部門内に充満した。それはそうだ、策を考え、それをパワポに落とし込む、そしてプレゼン。あと何時間もない。嫌な感じ。

オレからするともちろん部門内役員が先導を切って何人か招集し徹夜でパワポを作り上げるものと思っていた。ところがドッコイ、その役員、総括的な仕事をしていたオレに明日までに作って会議でプレゼンするようにって言ってきた。会社の行方を左右する重要会議にもかかわらずだ。本当に驚いた。何に驚いたかって、いきなりオレを指名したことではない、役員の役員たる使命がわかっていないことにだ。さっきの上司の上司たる所以を考えていないのと同じ。でも、命令だから仕方ない。

そこで先の心がけに救われた。日頃から溜め込んだパワポを探り当て、分散はしているが纏めれば使える。徹夜はしたが部下の手を借りながらなんとか乗り切った。会議でトップの了解を得た時は本当にホットした、ヤッタ感満載。

それにしても、オレができなかったらどうしたんだろう、不思議だ。オレが役員だったら、一緒にやろうぜ、ぐらいは絶対言ってる。上司たるべきもの、役員たるべきもの、〇〇先生その自覚、全く違います、って言ってやりたいたかったけど上司も人の子、オレも人の子。

上司は当たり外れあり、それはしょうがない。大事なことは、自分が上司になった時どう処するかだけだ。もうそんなこと考える必要もないか、ジャアナクッテ、もっと考えて社会の役に立ちなさい、嫌な声が聞こえてくる。

さて、オレの上司ぶりは何点か。31点、自己31点だけに。

なんやかやで結構な酔っ払い二人。二軒目はジェー君に奢ってもらった。昔の話は楽しい、でも複雑だ。

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おしまい

2019.11.29

新宿、思い出横丁、岐阜屋