摩訶不思議

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いつも岡山の家から浦和に戻る時、我がワゴンRのバッテリーが上がらなように必ずブースターケーブルを外して帰る。一ヶ月前にも岡山を発つ時、ボンネットを開け、ブースターケーブルを外し、そしてボンネットをちゃんと閉め、最後に車の鍵をかけて万全を期して帰った。

そして一ヶ月後の今回、岡山へ。着いたら早速、車を使うため、ブースターケーブルを繋げようとしてボンネットを開けた。目が点、なんと、ボンネットの隅に柿が入っているではないか。それも今、柿の木から取ったような新鮮な柿だ。とても一ヶ月前のものとは思えない。

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なんで鍵のかかったボンネットの中にあるのか。誰かの悪戯か、嫌がらせか、神がかりか、頭が交錯し恐怖さえ感じた。浅知恵で考えることといえば、留守の間に悪意あるものが家に入り、車の鍵を使って開け、わざわざ柿を置いて車の鍵までかけたのか。そうだとすると、愉快犯としか言いようがない、でも何のために。絶対、あり得ない。或いは、オレ自身が置いてそれを全く記憶してないケース、いや、流石にこれもないだろう。それとも、兄貴が3回忌を前にあの世から現れオレを驚かそうとしたのか、まるで推理小説の密室だ。

原因は必ずある。だが、それがわからないことが不安なのだ。そんな寒気を背中に感じながらも、ボーとしてもいられない。やることはやらなければならない。そのために高い交通費を払い帰ってきたのだ。家の換気、掃除、庭木の剪定、草刈り、草焼き、墓守、食材の購入、風呂の掃除、忙しくしているうちに、いつの間にやら記憶も薄れていく。というより忘れようとしていたのかも知れない。

三週間ほどで用事を済ませ、また浦和へ。その際も一連のルーチンは忘れずに行った。今度開ける時はと不安に思いながら。

それから数週間たち、先日テレビを見ていたら、驚いた。オレが見た光景と全く同じ場面が写っていたのだ。そう、ボンネットの中の柿。思い出したように湧いてくる不安を紛らわしながら見ていると、同じようなことが全国各地で起こっているらしい。それは、NHKの「ダーウィンが来た」という番組を見ていた時のことだ。同じような投書が全国から寄せられており、次回特集を組むそうだ。それでも、見た限りから想像した。ボカシの入った動物が写っていたので、何かの動物が冬場の食糧確保のためどこからか柿を取ってきて、保存のためにボンネットを選んだようだ。よく、エゾリスなんかが冬場の準備にドングリの身を落ち葉の中に隠すのと同じだ。でも、ボンネットに入るにしても下からしか無理だ。ワゴンRの下からボンネット内に入ることなんてできるのだろうか。そしてどんな動物なのか。

この辺りは動物には事欠かない。イタチ、テン、ハクビシン、タヌキ、アナグマ、何でもござれ。熊出没のニュースをよく見るが、この辺も以前にも増してイノシシを始め動物の被害が増えているような気がする。やはり環境破壊の影響か、でも、熊は勘弁だ、この辺にもツキノワグマがいるらしい。

そういえば、ボンネットに入っていた柿を近場の階段に置いておいたが、翌日、一部をかじられており、次の日はタネだけになっていた。その時も動物の仕業なんてかけらも思っていない。

いずれにしても、これはオレの想像に過ぎないが、如何に。次回の「ダーウィンが来た」楽しみだ。

つづく

2012.11.16

新宿で