芭蕉と大垣

旅をすることは、日々旅にして旅を栖かとする芭蕉に少しでも近づきたいから、そんな訳ねーか。という訳で、日本の紀行文学最高峰の奥の細道結びの地、大垣に行ってきた。

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早速、「奥の細道結びの地記念館」にお邪魔した。入り口を入った所にシアタールームがある。中に入ると自動で扉が閉まり照明がついた、誰もいない。椅子に座ると待ってたとばかりにすぐ映像が始まった。オレが入ったことでセンサーかなんか反応したのか不思議、気にせず受付で借りたメガネで観る、3Dだ。なんか大阪万博にも隕石が飛んでくるそんなのがあったような気がする。芭蕉が感じた日本の自然、侘び寂びを見事に表現していて芭蕉と一緒に歩いているようだ。草むらからヒョッコリ座頭市ハンも出てきそう。

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スタートは奥の細道の始点東京深川だ。そこから北上し日光、松島をへて平泉、西に行き酒田、日本海を下降し敦賀へ、そして最終地大垣。説明もコンパクトでとても良く纏まり芭蕉が何故このルートを選んだかが理解できるように工夫してある。日光を過ぎ、さあこれからみちのくへと思いきや白河の関で終わってしまった。外へ出ると仕組みがわかった。奥の細道を4つの地域(日光路、奥州路、出羽路、北陸路)に分けていて、それぞれ時間をずらして上映している。面白い趣向だ、時間も各パート15分ぐらいなので観たいところだけ観ることもできる、便利。なのでオレが入ったと同時に始まったのは凄い偶然だった。今回は日光路、奥州路、その他は次回に持ち越した。大垣に行ったら絶対に行くべきスポット、映像だけで芭蕉の知識を短時間に得ることができる。上皇陛下も天皇陛下の時代妃殿下と訪れている、お勧めだ。

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奥の細道は全長2400キロ、東京岡山間を歩いて、行って帰ってまた行くことになる。どうしても、トイレどうすんだ、水は川の水か、カミナリは逃げ場がないヤバイ、なんて現代人は考えてしまう、そんな観点から読むのも面白いかも。しかし芭蕉ぐらいになると夏草や蝉なんかの自然と一体化した生を感じていたのは間違いない、芭蕉文学が生まれた所以だ。酒は飲んだかしら。文学に名を残した人には浴びるほど酒を飲み、芸術を生み、酒で死んでいった人もいる。芸術はともかく親近感が湧く。酒仙の李白、1日一升の若山牧水なんかそうだろう。調べたら芭蕉にも酒にまつわる句がある「川舟やよい茶よい酒よい月夜」夜月を愛でながらのむ、飲む、呑む、好きだったんだろうな。

芭蕉が巡った有名どころ21箇所に句碑がある。この21の句だけでも暗唱できればとりあえず芭蕉を語れる。できれば、芭蕉が尊敬する西行を辿るが如く芭蕉が句作した現地の空間に接したい。結びの地大垣はこの句だ。「蛤のふたみにわかれ行秋ぞ」はまぐりの蓋と身が分かれる、芭蕉と知人が別れるに掛けている。蓋見と二見も掛けている。二見とは夫婦岩のある二見浦のことで、行くはこれから伊勢神宮へ行くこと。つまり二見浦は伊勢神宮へ行くためのお清めと決まっているらしい。奥の細道は大垣で一度終わるが、ここから伊勢へ式年遷宮を見に行く、旅はどこまでも続く。

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そういえば昨年行った家族旅行は伊勢神宮の後に二見浦の夫婦岩を見に行ってしまった。何も知らないとはこういうことか。

帰りがけに、大垣は水の都と言われて湧水が有名、折角なので八幡神社の大垣の湧水を味わってきた。清らかな水が滔々と湧き出す、自然の力は凄い。

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大切にしたい。
おしまい

2019.10.7

大垣