琵琶湖が泣いている。

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グレタ・トゥンベリさん、ヨットでニューヨークに到着! イギリスから14日間の旅だ、この行動力はすごい。サミットでの演説が楽しみだ。

ところで今、琵琶湖が話題だ。

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外来種ブルーギルの増殖で在来種のアユやフナが激減し漁師の生業が立ちいかなくなってるそうだ。そこである研究機関が名乗りを上げた。画期的なのはその駆除方法、ゲノム編集を使うという。ゲノム編集は最近中国でH IVに耐性のある双子を誕生させたことで注目を集めたが、それを琵琶湖のブルーギルにも応用しようというわけだ。

これには三つの問題が混在している。外来種による生態系への影響、駆除方法としてのゲノム編集の良し悪し、そして人間の愚かさだ。

まずは生態系。そもそもブルーギルが日本にやってきたのは、現上皇が皇太子時代にシカゴ市長から15匹寄贈を受け日本に持ち帰ったことから始まる。現上皇は後に心痛められたそうだが、外交を考えるとやむを得ない。むしろ問題は周りの学者や官僚がそれをどう扱うかによる。拡散した理由は数々あれど、驚くべきはブラックバスの釣りマニアがバスの餌としてブルーギルをいろんな湖に放流したらしい、ウィキペディアの情報だが。

こんな話もある。最近の琵琶湖、ブルーギルが反対に自然減少しているらしい。原因はまだ解明されていないが、どうもブルーギルだけでなく魚一般が少なくなっている可能性があるそうだ。想像の域を出ないが、ブラックバスブルーギルも捕食するので外来種が増えると外来種同士の戦いになったりする。ブラックバスに追われたブルーギルはヨシの林に逃げ込む、在来種も同じだ、生態系の下位の魚にとってヨシの林は命綱。ところがそのヨシにも異変が起きている、干拓工事による減少だ。原因は他にもあるだろう。水温の上昇だったり、水の濁りだったり、温暖化も少なからず影響していると思う。最後はブラックバスだけになってしまうかも。ブルーギルが増えたのも、干拓工事も、水温の上昇も、全て人間の自然に対するなせる技だ。

次にゲノム編集。これは先の中国の話のように人間を対象として考えるとどうしても倫理の問題になる、厄介だ。これはさて置き環境に関してはどうか。

ゲノム編集で外来種を駆除するのは、炭素排出量を削減するための原子力の是非に似ている。ゲノムで外来種を絶滅させ在来種を取り戻す、原子力で炭素の排出をゼロにし温暖化から地球を救う。自然の摂理を無視し人間が考えたゲノム編集や原子力で未来は明るいと独断的に決めるか、広島、長崎、東日本の経験から否定的になるか、どちらも人間の判断力を超える問題だ。なので、経済オンリーで考えるか、失ったら取り戻せない大切なものを第一義に考えるか。近代以降のたかだか200年でこれだけ地球が破壊されたことを考えると自ずと解が見えてくる。人間が自らを批判して考えることが大切だ。

最後に人間の愚かさ。生態系を破壊するブラックバスを同じく生態系を破壊するブルーギルで育て、バス釣りという一大産業に発展させてしまう。経済、競争のためにはなんでもする。そして申し訳程度のISO、これだって程のいい売名行為だ。業績が悪けりゃすぐ辞める。人間が科学の力で自然をダメにしそれで人間が苦しむ、その苦しみから解放されようとして人間は更に高度な技術で自然を破壊する。なんか自然を破壊することで需要を掘り起こし、科学の力で供給し潤う、そんな経済成長を延々と繰り返す。挙句の果て、その科学の力を人間が制御できなくなり、それすら気づかない。まさにウロボロスだ。

嫌な話ばかりになったが、最後にいい話。この間、BSでやっていた井の頭公園について。井の頭公園では2年に一度池の水を全部取り除いて掃除をする。その際、外来種ブルーギルを駆除し在来種モツゴは戻す。この作業「かいぼり」というそうだ。池の水を全て取り除くと湧き水が出てくる、これ神田川のひと雫。

そういえば、子供の頃、田植えのシーズンだったか、池や沼の水を徐々に放流する、だんだん水位が下がる、出てくる出てくる、鯉や鮒、鰻や鯰、そして日本ザリガニ、トキメキだ、なんとも言えず懐かしい。

公園の人が言っていた「人間がやったことを人間が元に戻す」、問題なのはその戻し方だ。

おしまい

2019.8.29

浦和