「これ絶対面白い」という本に出会った。

本屋でブラブラしていると、「これ絶対面白い」という本に出会うときがある。そんな本に出会った。

f:id:matsunari812:20180412120819j:image

通称バッタ博士と言われている前野ウルド浩太郎氏という昆虫学者の「バッタを倒しにアフリカへ」という本で2018年度の新書大賞を取っている。

著者は学者として進路を決めるときに大いに悩む。アフリカ西部のモーリタニアという国でサバクトビバッタというイナゴに似たバッタが大量発生して農作物を食い散らし大飢饉を招くことが問題化していた。その時、真のバッタ研究者になるには現場に行き戦いを挑むか、日本での安定をとるかの選択を強いられる。

人生には勝負する時がある、今がその時だ、と決断し片道切符を手にアフリカンドリームに夢をかけるというノンフィクションだ。

研究者としての大成、同時にアフリカの救済のために日々バッタと向き合い苦難と戦い挫折しかける、しかし周りの取り巻きが放っておかない。著者の人となりが周りの協力を呼び、結果目的が叶う、というか半分叶うと言ったほうがいいか。

著者の人柄を伝えるエピソードが書かれている。砂漠の深夜2時、宿営地の仲間は寝静まっている。一つでも多くの発見をするため単身バッタを求め夜の砂漠へ。2キロほど歩いたところで痛恨の一撃、サソリに刺される。誰も頼れず段々痛みが増す足を引きずりながら、宿営地へ。

サソリの知識は皆無、死をも覚悟しやっとのことで宿営地にたどり着いた。でも、皆を起こして大騒ぎになったらどうしょうと遠慮して朝まで耐える。朝皆からなんで起こさなかったんだ、と怒られる。そんな著者の本人が言う「シャイな性格」が人を寄せ付ける。オレなら大騒ぎだ、そこが違う。

この物語は、夢への執念、著者の人柄、仲間の思いやり、この3つだろう。歯切れのいい文章で、勇気が貰える一冊だ。

おわり

2018.4.12
さいたま