人工知能AI時代を受けて

ここのところ人工知能AIに関する話題が豊富だ。将来、いや現在をどう生きるか、AIを頭に入れておくかどうかで格段の差、文系、理系を問わず。恐らく普段耳にするマスコミの単なる情報として聞き流していると思うけど、ちょっと待った。AIはイギリスの産業革命、ウインドウズ95のパソコン、インターネットの情報革命などと同類の社会構造を根底から変える大きな変革だ。日々のルーチンに追われて乗り遅れると後悔する、なので知識ゼロから3冊、本を読んでみた。

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1.「人工知能と経済の未来(2016.7.井上智洋著)」
2.「日本再興戦略(2018.1.落合陽一著)」

3.「教養としてのテクノロジー(2018.3.伊藤穰一他著)」の3冊。

どれも書店に平積みにしてあるとても売れている本だ。

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1.の井上氏はAIが経済に及ぼす波及効果を歴史的観点から述べている。機械学習ディープラーニングなどAI用語もわかりやすく解説されているので入門書としてもいい本だ。また、AIと聞くと我々が最も関心を寄せるAIに代替される仕事は何かについて職業を単純化して「肉体労働」「事務労働」「頭脳労働」に分けて理解しやすく予測している、事務→肉体→頭脳の順に取って代わる。結果、今までの資本家と労働者の関係がこわれ、つまり労働者はAIに取って変られていなくなり資本家の勝利に終わる。資本主義の崩壊、マルクスも複雑。じゃあどうするか、ベーシックインカムという仕組みがご推薦と結論付ける。これは生活保護の進化版とも言えるもので、どうせAIやロボットに仕事を奪われ生活保護を受けることになるのであれば、最初から最低限の生活費を個人を対象に支給した方が効率が良いという制度、共産主義に近いと思うがちょっと違うらしい。井上氏の専門はマクロ経済、話をわかりやすくしているのでオレみたいな短絡的人間にはちょうどいい、初めに読む一冊!

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3.の伊藤氏は本の題名にもなっている「テクノロジー」つまりAI、VR、5G、ブロックチェーンなどが引き起こす具体的現象を述べている。特にブロックチェーン(分散化、脱中心)というセキュリティ確保のためのAIは理解しておきたい。要は情報を一箇所に集中させず複数のコンピュータで共有することでセキュリティの確保を図るもの。この技術を使った仮想通貨の話が面白い。仮想通貨には話題のビットコインをはじめとするいろんな通貨があるが、特定のコミュニティのあるところにはそのコミュニティ独自の通貨が存在し得るということ。例えばゲームの世界、太陽電池、マグロ、果てはマクドナルドという具合にその通貨を持っていれば法定通貨よりアドバンテージがある。簡単に言うとマグロの漁獲を目的としたコミュニティだけの通貨が存在し、その通貨でマグロが買いやすくなるということだと思う。マクドナルドも面白い、ビッグマックの食いっぱぐれがなくなる。それから自動運転の倫理の問題を取り上げていた。自動運転車に乗っていて物陰から人が飛び出て来た時、ハンドルが自動的に切られて崖から落ちるか、それとも轢いてしまうか「トロッコ問題」。そのほかにも興味深い話が色々書かれている。大事なのはこの変革期にそれぞれがきちんとした視点を持つことを説いている、そのためのヒントが満載だ、深掘りの一冊!

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最後に2.の落合氏のはオレも思っていたことが多々あってとても納得感があった。この本を手に取った時はこんなにマスコミにもてはやされている人だとは思っていなかったけど言っていることは鋭い。でもミレニアム世代に対し我賞めの年配には中々読みづらい、孔子の「後世恐るべし」の感覚で読むべし。そもそもこの本はAIというよりAIがもたらす激変の時代に日本人の意識を変え失った日本を再興させようとするものだ。明治時代は欧州から昭和は米国から取り入れてきた近代という時代、失った日本人をどうやって取り戻すか。それは仏教や儒教の東洋思想なのか、はたまた1300年に渡る天皇中心とする統治構造なのか興味は尽きない。心に残った言葉、「最近の日本人はイノベーションという言葉を掲げるばかりで、日本の文化や社会制度の理解が浅いため単純に西洋を真似する極端な方向に触れてしまっている。大事なのは日本の土台にある文化や社会制度をしっかり理解した上で、日本人が得意な中道、バランス感覚のあるイノベーションのあり方を考えること」「直接自分で貢献できるような、小さめなコミュニティのレベルでものを考えることが大切」どれも心に染みるいい言葉だ。それを実現するにはAIというテクノロジーが欠かせない、絶対読むべき一冊!

 

この3冊は教えてくれる、落合氏も言っているように劇場型の教育を受け、角砂糖の角を揃えたように均されたオレのような受動的なサラリーマンは、先人の残した絵画、文学、歴史、宗教から自分の立ちを明確にし、そしてできるところから行動を起こす、これがAI時代を生き抜く唯一の方法だ、まだ遅くない、ニーチェの末人から超人へ!

 

最後にAIには決してわからないこと「じいちゃんと畚を仕掛けて、翌朝あげた時のワクワク感、コイか、フナか、カニか、トウチカか、凄い鰻だ!」

おわり
2018.4.6
岡山