湯島界隈
今年も受験シーズン真っ只中。この時期の合格祈願、日本の風物詩だ。何に祈るかは千差万別。神様、仏様、キリスト様、アッラー様、山神様、でもここは孔子様だ。一度は行きたいと思っていた湯島聖堂へ行ってきた。
この聖堂、さだまさしの歌「檸檬」の歌詞が浮かぶ。「或の日湯島聖堂の白い石の階段に腰かけて 君は陽溜まりの中へ盗んだ檸檬細い手でかざす」から始まる青春の詩、よく聞いた思い出深い詩だ。この歌を知らなければ多分ここにはきていないと思う。こんな理由で他にも行った場所がある。「飛梅」太宰府天満宮、「北の国から」富良野、「まほろば」飛火野、歌は思い出を美化してくれる。
ここには孔子を祀ってある。孔子廟は日本にいくつかあるがここのが一番有名だろう。元は江戸時代に建てられたが、明治以降、学問所となり多くの師範学校が同居していたという、そんなことから日本の学校教育発祥の地、たいそうな所だ。つまり孔子様は学問の神様という訳、日本版菅原道真か。
塀で囲まれた敷地には都会の喧騒から一時逃れるにはもってこいの世界。狭いながらも緑がコンパクトに纏まっている。でもいるのはおじさん、おばさんだけで受験生らしき人はいない。孔子は儒教だが、手の合わせ方ってどうすんだろ、とりあえず仏式にしておいた。他の人達も100%仏式だった。
折角なので、本当に菅原道真を祀ってある湯島天神へ足を伸ばした。
ここは受験生と思しき学生たちでいっぱいだ。絵馬も凄い、チョット覗くとやっぱり高校、大学が多く、医学部、薬学部がまだまだ健在だ。今ハラリの本を読んでいるが、AIにとって変わられる仕事の真っ先に挙げているのが医者とドライバーだ。機会があったらブログに挙げたいと思うが根拠がとても興味深い、多分高い確率でそうなると思う。そんなことを考えながら絵馬を書いている女子学生を見ているとなんか切なくなる。絵馬は自分で書くものと思っていたが、見るとそうでもない。一番目につくのが「母より」だ。本人には内緒できたのかもしれない。
ここまできたら最後は神田明神。ここの御祭神は三つあるらしいがその一つが平将門命で徳川家康が関ヶ原の前に祈願に訪れたとか訪れないとか。団体の観光客が多い、土産物屋も充実していて、結構混んでいる。ここの絵馬も受験合格祈願が多いようだ、家康にあやかってだろう。
それにしても、徒歩15分圏内に聖堂、神社と三つも近場にあるとどこに祈願していいか迷わないか。あっち立てればこっち立たずで焼き餅を焼かれそうでオレなんか気になってしょうがない。いっそSNSで一斉発信、なんて不謹慎なことを考える。
この辺はあまりご縁がなかったが、こうやって散策していると、何も遠くへ行かずとも日本を十分に感じることができる。まして、遠方から観光に訪れくるぐらいだ。先ずは近場の名所は知っておきたい、今更ながらだが。
帰りに聖橋から神田川を望んだが、聖橋がリニューアル中なのでよく見えなかった。さだまさしはここで「檸檬」の詩の発想が浮かんだ筈だ。表現できることって素晴らしい、羨ましい。
少し歩き疲れたが、神保町へ廻って梶井基次郎の「檸檬」でも買って帰ろう。
受験生ガンバレ!
おしまい
2020.2.7
神田の喫茶店