香川

ここは香川、「金毘羅船々 追い手に 帆かけて シュラシュシュシュ」で知られたこんぴらさんだ。妻と香川に本場の讃岐うどんを食しに来たついでに足を伸ばした。ところがドッコイ、ついでに来るところではない、甘かった。象頭山という山の中腹に位置する神社なので、本宮まで785段の階段を登らなくては辿り着けない。知らずに登り始めたのが後の祭りで、ここまで来たのだからと一段また一段、やっとの思いで克服した。こんなにハードなのに何故かお年寄りも多くお参りしている。四国八十八ヶ所プラスアルファ的にお参りしているのかも。最もここは神社だが元々は神仏習合だったのでお遍路さんとも矛盾はしない。かの弘法大師空海の生誕地とされる善通寺が近くなので、神様、仏様となんでもござれだ、とても日本的だ。

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参道の茶店がとても充実しているが、あまりのキツさに楽しめない。途中でビールでもといきたいところだが、車なのでそうもいかない。只々階段と格闘だ。この間、備中松山城に登ったが、あの登山を上回る過酷さ。一人で来ていたら間違いなく頓挫していただろう。

ここのお宮には保元の乱崇徳天皇が合祀されている。崇徳院といえば百人一首に有名な歌がある。「瀬を早み 岩にせかるる滝川の  われても末に あはむとぞ思ふ」という歌、落語の演目にもなっている。

崇徳上皇皇位継承後白河天皇と争い、結果、平清盛がついた後白河天皇に敗れ讃岐に流された。雨月物語によるとその怨念が強烈で自ら狂死したそうだ。自分の舌を噛み切った血で呪いの言葉を残し、爪も髪も伸ばし放題で怨念の塊で亡くなった。そんな人が歌ったとは思えないぼど実に情熱的な恋の歌だ。そんな崇徳院、ここで眠っているとは新たな発見。785段の階段を登った価値あり、好奇心の塊である妻に感謝。というのも、先にも触れたが、元々金毘羅さんは予定していない、妻の一言、思いつきの賜物だ。

因みに、讃岐うどんはネットランキングで上位の日の出製麺所というお店。チャキチャキのおねえさんが列を取り仕切って食べ方の説明をしていた。あまりに早口なのでよく分からず入店。初めに1玉、1.5玉、2玉と温、冷の選択をして中に入る。妻は1玉だがオレは1.5玉、1玉のなんと少ないこと。トッピングは揚げ、竹輪天、味付け肉を注文した。日頃、丸亀製麺に慣らされているので自然と比較してしまうが、若干麺は柔らかく、味は少し濃いめ、でもとても美味しかった。営業時間はなんと昼の11時30分から12時30分のたったの1時間、配達や納品の仕事が中心らしい。なので食べていて全てが忙しない。香川ではうどんは飲むものだとかテレビで言っているがわからなくもない、つまり流し込んで時間をかけない、それが粋ということかな。うどん屋を後にして金毘羅さんへ向かうが、さすがうどんの県、江戸そばという店が一軒あっただけで、蕎麦屋はおろかラーメン屋すらお目にかからなかった。徹底したうどん崇拝、うどん愛だ。

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帰り際に瀬戸内海の夕日スポットがあるとのことで父母が浜(ちちぶがはま)という鎌倉の由比ヶ浜に似た海岸に足を伸ばした。ここは水鏡の撮影でSNSなんかで話題を呼んでいるらしい。写真は夕方5時頃だが、若干雲がかかり、少し風があったので水鏡も波だってしまった。それでも十分楽しめた。

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それにしても体力勝負の1日だった。でも、なんやかんや、やった感につつまれ心豊かだ。コンビニでサンドイッチを買い、瀬戸大橋を渡り帰路に着いた。来てよかった。

おしまい

2021.10.18