君たちの日本国憲法
「君たちの日本国憲法」を読んだ。池上彰氏が桐蔭学園の高校生と議論した講義録だ。さすが池上彰、こりゃすごい。憲法については、最近改正が取りざたされているので書店にも色んな本が並んでいる。新しく書き下ろしたものや以前売れなかったのをここぞとばかりあたかも発刊かのように積んである。そんな中、まずはこの一冊を。
憲法をわからなくしているのは解釈論だろう。9条にみるようにイデオロギーや立場の違いで真逆の判断だ。そして最もわかりにくくしているのが学者諸氏のいわゆる学説。読んでいる時はへー、成る程なんてわかったような気になるが、次を読んだら見解が分かれ混乱する。なぜ混乱するか、自分の意見を持っていないから、なので、先ずはちゃんと知ることから。
そんな方々に最適な一冊だ。この学説は右だの、あの学者は左だの、といった本はよくある。憲法が拘束しているのは国、行政側、その下にいろいろな法律が我々を規制している。これがわかっていないと始まらない。こんな観点から憲法の歴史を読み解き、更には最近の話題まで取り上げ、とてもわかったような気にさせてくれる。というより、考えるヒントを与えてくれると言ったほうが良い。
あとがきで一つの命題が与えられる、「平成が戦争のない時代でいられた理由を考えることは意味深いことだ。アメリカのおかげか、安保か、9条か」、高校生に限らず全ての日本人が今考えよう。そして自分の考えを持ち意見を言い共有して行くこと、これが重要。
因みに、敬愛する小室直樹先生の「日本人のための憲法原論」は必読書。日本国憲法は死んでいるから始まり、憲法と密接に関係する民主主義と資本主義に踏み込んで鋭く説かれている。若い時に読んで頭に叩き込むべき傑作。
いずれにしても、国民投票にかかわらず自分の考えはまとめておきたい。次の世代のためにも!
おしまい
2019.3.19
浦和